はじめに
大山康晴十五世名人は四間飛車に対する急戦への対抗策として△4一金型を愛用していました。(下図)
大山康晴十五世名人がこの△4一金型を愛用してきた理由として、以下のようなことが書かれています。
相手の研究通りに進むことを極端に嫌った大山先生は、「遠くから見るとずっと同じ位置に立っているように見えて、その実、私はいつも三センチずつ動いている。だから相手の弾がかすりはしても、当たらないのだ」と言っていた。
(藤井猛著 四間飛車の急所4のまえがきより)
今回記事では将棋倶楽部24のHefeweizenの将棋を題材として△4一金型の戦い方を学んでいきたいと思います。
△4一金型の実戦例
動く将棋盤は以下のリンクから
開始日時:2018/10/24 02:00:11
棋戦:R対局(15分)
先手:先手
後手:Hefeweizen(3277)
(初期局面)
(初手からの指し手)
▲2六歩 △3四歩 ▲7六歩 △4二飛 ▲6八玉 △4四歩(途中図)
▲4八銀 △3二銀 ▲7八玉 △6二玉 ▲5六歩 △7二銀▲5八金右 △7一玉 ▲6八銀 △9四歩 ▲9六歩 △4三銀 ▲5七銀左(下図)
後手の角道を止める四間飛車に対して先手が▲5七銀左の急戦策に出ました。
▲5七銀左急戦は現在ではやや減少傾向にあるものの根強い人気があります。
(上図からの指し手)
△3三角 ▲2五歩 △8二玉 ▲3六歩 △5四歩▲6八金上 △6四歩(下図)
後手は本記事の主眼である△4一金型で待機するために、△5四歩▲6八金上△6四歩として先手の応手を問います。
△6四歩に対して▲4六歩は△7四歩や△5二金左、または△3二金と対応します。
また、△6四歩に対して▲4六銀としてきた場合も△5二金左や△3二飛でもいいですが、△4一金型を生かして△3二金(参考図)とする指し方も有力です。
▲3五歩には△4五歩▲3三角成△同桂▲5七銀引△4四角として対抗します。
(本譜局面図再掲)
(上図からの指し手)
▲3七銀 △5二飛 ▲4六歩 △4二金 ▲2六銀 △4五歩(下図)
先手は▲3七銀で棒銀を選択しました。
後手が▲3七銀を見て△5二飛と中飛車にしたのは△4一金型を生かした動きです。
仮に序盤で△5二金左としていた場合はこの指し方はできません。
▲4六歩に△4二金として角と連携してから▲2六銀に△4五歩としてさばきにでました。
(上図からの指し手)
▲3三角成 △同 桂 ▲2四歩 △同 歩▲1五銀 △4四角(下図)
△4五歩に対して▲3七銀と引いて陣形を立て直す指し方もありますが以下、△8八角成▲同玉△5五歩▲同歩△同飛(参考図)と進んで後手が戦えます。
▲6六角には△5一飛▲1一角成△3三桂として先手の馬を封じ込めつつ、△5六歩から攻めていき後手十分です。
△4五歩に対して本譜は▲3三角成から攻めていきましたが、△4四角が好所の角打ちです。
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(本譜局面図再掲)
(上図からの指し手)
▲6六角 △4六歩 ▲2四銀 △4七歩成 ▲同 金 △2七歩 ▲同 飛 △6六角(投了図)
まで46手で後手の勝ち
△4四角に対して▲6六歩は以下△4六歩▲2四銀△4五桂(参考図)で思う存分後手がさばけます。
本譜は△4四角に対して▲6六角ですが、△4六歩と指します。
△4六歩に▲同銀は△6六角~△3九角の筋があります。
また、▲4四角△同銀▲2四銀も△2七歩▲4八飛△5五歩(参考図)で後手指しやすい形勢です。
棒銀を空に切らせる指し回しが参考になります。
本譜は△4六歩に対して単に▲2四銀と出ましたが、△4七歩成▲同金△2七歩▲同飛△6六角で先手の投了となりました。
(投了図再掲)
▲同歩、▲同銀ともに△3八角が痛打となります。
この将棋の総棋譜は以下から
△4一金型のまとめ
- 後手は左金の動きをぎりぎりまで保留して相手の指し方を限定させます。そして相手の動きを見て、より自分が有利な展開を選択できます。
- ▲3七銀の棒銀には△5二飛で中央からさばきに出ます。相手の棒銀を空に切らせるのがうまい戦い方です。
- △4四角は急所になりやすい角打ちです。中盤~終盤でこの角打ちが好手になりやすいです。
その他参考棋譜
参考棋譜その1
開始日時:2018/10/04 20:27:13
棋戦:R対局(15分)
先手:先手
後手:Hefeweizen(3267)
参考棋譜その2
開始日時:2018/07/28 10:28:36
棋戦:R対局(早指2)
先手:Hefeweizen(3149)
後手:後手
参考棋譜その3
開始日時:2018/06/12 11:21:55
棋戦:R対局(早指2)
先手:Hefeweizen(3173)
後手:後手
参考書籍