はじめに
後手のノーマル四間飛車に対して先手が▲5七銀左から▲4六銀として急戦に出る指し方は昔から根強い人気があります。
(下図参照)
上図からは△5四歩▲3五歩△3二飛…と進む展開が多く、場合によっては詰みまで研究されている変化もあります。
今回の記事では将棋倶楽部24のHefeweizenの将棋から、従来からよくある指し方とは違う、四間飛車側の工夫した手順を見ていきたいと思います。
▲4六銀左急戦対後手四間飛車の△4五ポン作戦の実戦例
動く将棋盤は以下のリンクから
https://shogi.io/kifus/235882
開始日時:2018/10/01 12:48:16
棋戦:R対局(早指2)
先手:先手
後手:Hefeweizen(3246)
(初期局面)
(初手からの指し手)
▲2六歩 △3四歩 ▲4八銀 △4二飛 ▲6八玉 △6二玉 ▲7六歩 △7二玉 ▲7八玉 △8二玉(下図)
Hefeweizenは四間飛車にした後、角道を開けたまま駒組みを進めています。
(上図からの指し手)
▲5八金右 △7二銀▲2五歩 △3三角 ▲9六歩 △9四歩 ▲6八銀 △4四歩 ▲5六歩 △5二金左 ▲5七銀左(下図)
その後もしばらく後手は角道を開けたまま駒組みを進めましたが、先手の▲6八銀を見て△4四歩と角道を止めました。
そして先手は▲5六歩から▲5七銀左として急戦策を目指します。
(上図からの指し手)
△3二銀 ▲3六歩 △4三銀▲4六銀(下図)
後手は左の銀の動きを保留していましたが、先手の▲5七銀左を見て△3二銀から△4三銀として角頭をカバーしました。
対する先手は▲3六歩から▲4六銀として▲4六銀左急戦を採用しました。
▲4六銀左では▲4六歩や▲6八金直も有力でそれぞれ細かいところまで定跡化されています。
(上図からの指し手)
△5四歩 ▲3五歩 △4五歩(下図)
後手は先手からの後々の▲5五銀を防いで△5四歩とします。
先手は▲6八金直を入れずに▲3五歩と仕掛けていきました。
▲3五歩には△3二飛が従来からある進行で、Hefeweizen自身も実戦で指しています。
参考棋譜
https://shogi.io/kifus/235883
本譜は▲3五歩に対して△4五歩として△4五ポン作戦に出ました。
(本譜局面図再掲)
(上図からの指し手)
▲3三角成 △同 桂 ▲3四歩 △同 銀 ▲3八飛 △4六歩(下図)
△4五歩に対して▲同銀とするのは△8八角成▲同玉△3五歩(参考図)と進んで次に△3三桂があり、後手が指しやすい形勢となります。
また、▲3三角成△同桂の局面で▲5七銀引とするのは有力で、以下△2二飛(参考図)と進んで難解な中盤戦となります。
本譜は▲3四歩△同銀▲3八飛として先手は攻めの姿勢を見せましたが、後手も切り合いを目指して△4六歩としました。
(本譜局面図再掲)
(上図からの指し手)
▲3四飛 △4七歩成▲同 銀 △4六歩 ▲3八銀 △3二歩 ▲3一角 △4七銀(下図)
先手も▲3四飛として銀を取り返しますが、後手の△4七歩成~△4六歩が拠点を作り大きなポイントとなります。
▲3八銀と引かせてからいったん△3二歩と受けておきます。
△3二歩に対して先手も▲4八歩と受けると以下、△4五銀▲3七飛△5六銀(参考図)と進んで、次の△4五桂のさばきを狙って後手が有利となります。
よって先手は▲3一角と飛車取りに角を打ちましたが、後手の△4七銀も急所の厳しい一手です。
(本譜局面図再掲)
(上図からの指し手)
▲4四歩 △5八銀成 ▲同 金 △4五角 ▲3五飛 △4四飛▲7五角成 △5六角(下図)
△4七銀の局面で▲4二角成 △5八銀成 ▲5二馬と攻め合うのは以下、△6九成銀 ▲6一馬 △7九金▲8八玉 △6一銀 ▲4二飛 △5二金 ▲4一飛成 △5七角 ▲9八銀 △7八金 ▲同 玉 △6八角成 ▲8八玉 △7九角(参考図)と進んで後手の勝ちとなります。
よって先手は▲4四歩として相手の飛車筋を止めようとしましたが、後手は△5八銀成から△4五角として先手の飛車を追っていきます。
そして仕方のない▲3五飛に△4四飛~△5六角として大駒を活用して後手好調です。
(本譜局面図再掲)
(上図からの指し手)
▲5三銀 △4七歩成 ▲6八金 △5三金 ▲同 馬 △4三金(下図)
▲5三銀の飛車取りには構わず△4七歩成とします。そこで▲4四銀成としてきた場合は△5八とで後手勝勢です。
よって本譜は▲6八金としましたが、後手はと金ができたことに満足して△5三金~△4三金としました。
(上図からの指し手)
▲4四馬 △同 金 ▲3六飛 △4五金▲5六飛 △同 金 ▲4七銀 △同 金 ▲4一飛 △5九銀(途中図)
▲4七飛成 △6八銀成 ▲同 玉 △8八角 ▲7八金 △9九角成▲5三角 △2八飛 ▲4八歩 △2九飛成(投了図)
まで76手で後手の勝ち
以下は先手の粘りを振り切り、後手の勝ちとなりました。
投了図以下
▲4一龍とすると、△5七銀▲同玉△4五桂打▲同龍△同桂▲4六玉△5五馬▲3五玉△3四香▲同玉△3三飛までで即詰みとなります。
この将棋の総棋譜は以下から
▲4六銀左急戦対後手四間飛車の△4五ポン作戦のまとめ
▲4六銀左急戦は終盤の詰みの変化まで研究されており、振り飛車側としても対局前に十分な準備が必要とされます。
よって本局のような△4五ポン作戦は相手の研究を外す意味でも有用です。
この作戦の優秀なところはただ相手の研究を外すだけでなく、相手が最善の指し方をしてきても振り飛車側が互角に戦える点にあります。
△4五歩を突いた後は自分の土俵に引きずり込んで勝利を目指しましょう。