はじめに
前回に引き続いて横歩取り青野流の将棋を検討していきます。
前回は先手の青野流に対して後手が△2二銀・△8二飛型で対抗する将棋を見てきました。
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今回の記事では対△5二玉型の将棋を見ていきたいと思います。
横歩取り青野流の基本!その2(対△5二玉型)の実戦例
動く将棋盤は以下のリンクから
開始日時:2018/12/15 19:00:00
棋戦:wdoor+floodgate-300-10F+G3900_kai7_dol2.1+gikou2_1c+20181215190002
先手:G3900_kai7_dol2.1
後手:gikou2_1c
(初期局面)
(初手からの指し手)
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩 ▲7八金 △3二金 ▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △8六歩▲同 歩 △同 飛▲3四飛 (下図)
15手目に▲3四飛として横歩取りの将棋へと進みました。
(上図からの指し手)
△3三角 ▲5八玉 △5二玉 ▲3六歩(下図)
後手の△3三角に対して▲5八玉と上がるのは青野流を目指す上でおなじみの一手です。
続いて後手は先手の▲5八玉に対応するかのように△5二玉と玉の位置を合わせます。
そして▲3六歩も青野流では大事な一手で、飛車は3四の位置のまま攻撃態勢を作っていきます。
青野流は▲5八玉・▲3六歩がセットと覚えておこう。
(上図からの指し手)
△7六飛 ▲7七角 △同角成 ▲同 桂 △5五角(下図)
後手も△7六飛として横歩を取ってきた局面は先手も注意が必要です。
△7六飛に対して▲3七桂と指すと△8八角成(参考図)でいっぺんにしびれてしまいます。
▲同銀には△7八飛成で後手勝勢です。
横歩取りの将棋ではよく出てくる筋なので十分注意しましょう。
よって先手は△7六飛に対しては▲7七角と上がってこの筋を防ぎます。
対する後手は△7七角成▲同桂△5五角として次に△7七角成と△1九角成を狙っていきました。
(本譜局面図再掲)
(上図からの指し手)
▲2二歩 △同 角 ▲6八銀 △5五角 ▲2二歩 △同 角 ▲3七桂(下図)
後手の△5五角に対して先手は▲2二歩とします。
▲2二歩に対して△同銀や△同金は飛車を成りこめるので指せません。
△3三桂は有力で、以下▲2一歩成△4二銀▲2三歩△同金▲8四飛(参考図)と進む実戦例が多数あります。
また、▲2二歩に△7七角成としてみたくもなりますが、以下▲同金△同飛成に▲7八歩(参考図)としておけば将来の▲2一歩成が楽しみで先手優勢です。
本譜は▲2二歩に対して△同角としました。これも考えられる一手です。
先手はいったんは△7七角成を防いで▲6八銀としておきます。
後手は再度△5五角として△1九角成を狙いますが、先手もまた▲2二歩と打って角をバックさせます。
そして▲3七桂が青野流の骨子となる右桂の活用です。
(本譜局面図再掲)
(上図からの指し手)
△8六飛 ▲4五桂 △6二銀 ▲6五桂(下図)
後手は△8六飛として△8九飛成を狙ってきますが、先手はかまわず▲4五桂と跳ねてしまうのが好判断です。
以下△8九飛成としてきても▲7九金△9九龍▲6五桂△6二金に▲7二歩(参考図)という好手があり、先手の勝ち筋になります。
△同銀▲5三桂左成△同金▲同桂成△同玉▲7一角△6二桂▲5四金として攻めが続きます。
よって後手は△8九飛成とはせずに△6二銀と受けましたが、それでも先手は▲6五桂と跳ねて攻めっけ100%です。
suimon
(本譜局面図再掲)
(上図からの指し手)
△8五飛▲5三桂左成△同 銀 ▲同桂成 △同 玉 ▲4一角(下図)
先手が▲6五桂と跳ねて中央を狙った局面で後手が△8九飛成とすると、以下▲7五角△4二金▲2三歩(参考図)と進んで先手の勝ちが見込めます。
△7八龍には▲2二歩成△同銀▲5三桂左成以下、中央で清算して▲3二飛成で先手勝ち筋。
よって後手は▲6五桂に対して△8五飛としましたが、かまわず▲5三桂左成から攻め込んでいき先手好調です。
(本譜局面図再掲)
(上図からの指し手)
△4二桂 ▲3二飛成 △同 銀 ▲6四銀 △同 玉 ▲3二角成(下図)
後手が△4二桂と飛車取りに打ってきた局面は先手としても決めどころです。
まず、▲3二飛成と飛車を切り飛ばして△同銀に▲6四銀が目の覚めるような鋭い一手です。
▲6四銀に対して△同歩は以下▲8五角成△7二銀に▲7一金(参考図)と進むのが一例で先手勝勢です。
参考棋譜
開始日時:2018/10/14 14:30:00
棋戦:wdoor+floodgate-300-10F+ULTRAJAM+gikou2_1c+20181014143001
先手:ULTRAJAM
後手:gikou2_1c
後手:gikou2_1c 後手の持駒:飛 桂 歩五 9 8 7 6 5 4 3 2 1 +---------------------------+ |v香v桂 金v金 ・ ・ ・v桂v香|一 | ・ ・v銀 ・ ・v桂v銀v角 ・|二 |v歩 ・v歩 ・v玉v歩 ・ ・v歩|三 | ・ ・ ・v歩 ・ ・ ・ ・ ・|四 | ・ 馬 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五 | ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・|六 | 歩 ・ ・ 歩 歩 歩 ・ ・ 歩|七 | ・ ・ 金 銀 玉 ・ ・ ・ ・|八 | 香 ・ ・ ・ ・ 金 銀 ・ 香|九 +---------------------------+ 先手:ULTRAJAM 先手の持駒:飛 歩二 手数=49 ▲7一金 まで 後手番
本譜は▲6四銀に対して△同玉と取りましたが、▲3二角成としておいて後手玉はかなり危険な恰好です。
(本譜局面図再掲)
(上図からの指し手)
△3三角▲8六歩 △同 飛 ▲4三馬 △4五飛 ▲5三銀(下図)
▲6四銀△同玉の交換を入れたことによって▲3二角成が次に2二の角取りと▲4二馬を可能にしています。
よって後手は△3三角と受けましたが、▲8六歩を入れてから▲4三馬と引き、徐々に後手の包囲網を狭めていきます。
(上図からの指し手)
△7四玉 ▲7五歩 △同 飛 ▲8七金 △同飛成 ▲同 馬 △7六銀▲8六馬(途中図)
△7八金 ▲5九金 △6八金 ▲同 金 △7七銀打 ▲8二飛(途中図)
△8六銀成 ▲同飛成 △8四歩 ▲9五銀 △同 飛▲同 龍 △7五角 ▲8二飛(投了図)
まで75手で先手の勝ち
以下は先手が緩むことなく寄せ切りました。
△8五銀打には▲6六金から角を取るのが速い寄せです。
この将棋の総棋譜は以下から
横歩取り青野流の基本!その2(対△5二玉型)のまとめ
- 後手の△5五角には▲2二歩打を連続することで対応する。
- 左右の桂馬を跳ねて中央を狙っていく。
- ▲6四銀が寄せの決め手。後手玉を不安定な形に持っていく。
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