クルクル角戦法~速攻から持久戦まで~

はじめに

クルクル角戦法は対振り飛車で先手なら9七、後手なら1三に角を出て振り飛車の動きを見て戦い方を決める戦法です。

公式戦で早咲アマが採用したことも話題となりました。(参考図)

参考記事

参考 とっておきの四間飛車破り~これが噂のクルクル角だ!~ コンピュータ将棋研究Blog

今回の記事では将棋倶楽部24の棋譜を題材としてクルクル角の将棋を見ていきます。

クルクル角戦法~速攻から持久戦まで~の実戦例

実戦例その1

開始日時:2018/05/08 05:31:54
棋戦:R対局(早指)
先手:先手
後手:Hefeweizen(2882)

(初手からの指し手)
▲7六歩 △4二玉 ▲1六歩 △8四歩 ▲6八飛 △7四歩 ▲7八銀 △7三桂

クルクル角戦法の性質として、角を9七、1三に出た後に5三、5七に角を成ることを目指すため、最も相性の良い振り飛車は四間飛車となります。

本局の後手は△7四歩~△7三桂を急ぎました。

(上図からの指し手)
▲4八玉 △1四歩 ▲3八玉 △8五歩▲7七角 △6二銀 ▲2八玉 △1三角

クルクル角戦法の重要なところとして7六、3四の歩はすぐには突かないという点があります。

角は端から活用していくのがクルクル角戦法の骨子の部分です。

本局も△1三角として端から角を活用しました。

(上図からの指し手)
▲5八金左 △6五桂 ▲6六角 △8六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲8七歩 △7六飛

△1三角に対しては▲5八飛とするのが有力でした。以下、△6五桂には▲6八角(手順最終手)で受かっています。

よって後手も▲5八飛には△3二銀と上がりそこで▲1五歩には△8六歩▲同歩△6五桂(手順最終手)と仕掛けることができます。

ポイント
以下▲6八角△1五歩▲同香△5七桂成▲同角△同角成▲同飛△1五香として切り返すことができます。

本譜は△1三角に対して▲5八金左と上がりましたが、後手は△6五桂から速攻を仕掛けました。

(本譜局面図再掲)

(上図からの指し手)
▲1五歩 △6六飛 ▲同 歩 △5七桂成 ▲同 金 △同角成

本譜は▲1五歩として1三の角を狙いにいきましたが、△6六飛~△5七桂成で見事に後手の速攻が決まりました

▲1五歩では▲4八銀と上がっておくのが一案ですが、以下△8六歩▲同歩△8七歩(手順最終手)としておいて後手がかなり指しやすい形勢です。

ポイント
この後の狙いとして△8六飛~△8八歩成があります。△8七歩の局面で▲同銀は△7九飛成です。

以下は結果では先手の勝ちとなっていますが、局面的には後手勝勢でした。

この将棋の棋譜は以下から


実戦例その2

開始日時:2018/12/23 16:56:26
棋戦:R対局(早指2)
先手:先手
後手:JKishi18gou(3218)

(初手からの指し手)
▲7六歩 △4二玉 ▲6八飛 △9四歩 ▲4八玉 △1四歩 ▲1六歩 △6二銀 ▲3八玉 △5二金右 ▲2八玉 △8四歩▲7八銀 △7四歩▲6六歩 △3二銀 ▲6五歩 △7三桂 ▲5五角 △1三角

もう一局実戦例を見ていきます。本局も先手四間飛車から後手が△3四歩を保留しての駒組みです。

△3二銀として左美濃の骨格を作ってから△1三角として5七の地点を狙いました。

(上図からの指し手)
▲5八金左 △5四歩 ▲7七角 △3五角▲6四歩 △同 歩 ▲同 飛 △8五歩 ▲5四飛 △6三金

1三に上がった角を3五に移動させたのがクルクル角でよく出てくる進行です。

1三の角が居たままでは先手からいつでも▲1五歩を狙えるので角を移動させておくのがいいのです。

(上図からの指し手)
▲5六飛 △3一玉 ▲3八銀 △2二玉 ▲4六歩 △5三角

1三→3五→5三と角を転回するのがクルクル角の基本となります。

場合によっては4四に引いて角交換を狙うような展開も考えられます。

(上図からの指し手)
▲4五歩 △6四角 ▲4四歩 △5三銀 ▲4三歩成 △同 銀

本局の先手は低い陣形からのさばきを狙っています、対する後手は金銀を盛り上げて抑え込みの方針です。

(上図からの指し手)
▲6五歩 △同 桂 ▲8八角 △8六歩 ▲同 歩 △6六歩▲同 飛 △5四金 ▲2六飛 △3四銀

先手は▲6五歩△同桂▲8八角として次に▲6六歩の桂取りを狙いました。

対する後手は△8六歩▲同歩△6六歩としたのが好手順です。

△6六歩に対して▲6六同角には△5四金(参考図)とするのが手厚い手で先手は攻め切ることができません。

本譜は△6六歩に対して▲6六同飛としましたが、やはり△5四金~△3四銀として抑え込みを図ります

(本譜局面図再掲)

(上図からの指し手)
▲6六歩 △5五角 ▲7九角 △4五金 ▲9八香 △4二飛

先手は▲6六歩としましたが後手の△5五角が好手で▲6五歩と桂を取ることができません。(△8八角成で角を取られてしまいます)

▲7九角と引きましたが依然として▲6五歩とはできないので△4五金~△4二飛として後手の抑え込みの方針がはっきり成功した格好となりました。

この将棋の棋譜は以下から

クルクル角戦法~速攻から持久戦まで~のまとめ

  • クルクル角戦法は角を先手なら9七、後手なら1三のルートから使っていくのが骨子となります。相手にする振り飛車の中では対四間飛車により効力を発揮します。
  • 速攻を狙う場合は桂跳ねとの組み合わせが有効です。5三や5七の地点を狙っていきます。
  • 後手番の場合、1三→3五→5三のように角を転回させるのが基本となります。相手の軽い陣形からのさばき狙いには金銀を盛り上げて厚みで対抗します。

その他参考棋譜

参考棋譜その1

参考棋譜その2

参考棋譜その3

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です