はじめに
将棋は攻めるだけでなく受けのテクニックを磨くことも勝率アップや棋力アップにおいて重要となってきます。
受けの基本は、自玉の詰み筋、寄り筋をしっかり読んで見極めることです。
どのような逃げ方がよいか、どのような合駒がよいかを考える訓練を積むことで、寄せの力や読みの力が向上し、終盤の総合力をアップさせることができます。
今回の記事では実戦を題材とし、凌ぎの手筋を学んでいきたいと思います。
第一回 凌ぎの問題集
問題形式となっています。「以下の進行」の部分をクリックorタップすると解答を見ることができます。
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問題その1
開始日時:2018/03/25 19:52:17
棋戦:R対局(早指)
先手:先手
後手:JKishi18gou(3213)
先手が▲1三桂と打った局面です。後手玉は受け方を間違えるとトン死してしまうので注意が必要です。
△同 香▲3二角 (途中図)
△3一玉 ▲4三角成 △2八飛成(投了図)
まで100手で後手の勝ち
まず、▲1三桂に対して△1一玉とすると▲5一飛成 △2二玉 ▲3一角 △1一玉 ▲4二角成△2二玉 ▲3一馬 △1一玉 ▲2一馬(参考図)でトン死してしまいます。
よって△同香▲3二角と進みます。
▲3二角に対して①△1一玉は▲5一飛成以下②△2二玉③△1二玉はともに▲2三角成以下トン死となります。
ここは③△3一玉が唯一の逃れ筋です。以下▲5一飛成には△3二玉(参考図)で凌いでいます。
しっかり読みを入れることで先手の攻めを後手がうまく凌ぎました。
問題その2
開始日時:2018/09/30 19:00:01
棋戦:wdoor+floodgate-300-10F+orqha-ryzen+F13+20180930190005
先手:orqha-ryzen
後手:F13
先手が▲3五歩と突いた局面です。
後手陣はかなり不安定な格好で受け方を間違えるといっぺんに敗勢になってしまいます。
先手の▲3五歩の狙いも含めてしっかり狙い筋を読み切り対応しましょう。
△3八角 ▲5六飛 △5五歩 ▲6六飛 △6四歩 (途中図)
▲4六飛 △8三銀(下図)と進行しました。
▲3五歩は左辺への飛車の転換を狙っており、△同歩と取ると▲7六飛(参考図)と飛車を活用して攻めが切れにくくなります。
△7五歩には▲同飛!△同銀▲6三角成という攻めがあります。
▲3五歩には△3八角が受けの好手です。なにかの時に自陣に馬を引き付けて受けることを可能にしています。
▲5六飛には△5五歩としてあくまで角筋を通そうとします。
△5五歩に▲同飛は△5四歩(参考図)で受かっています。
▲6六飛(次に▲6一飛成の狙い)にも△6四歩として丁寧に受けます。
そして▲4六飛には待望の△8三銀で後手は窮地をしのぐことに成功しました。
問題その3
開始日時:2018/12/10 20:00:00
棋戦:wdoor+floodgate-300-10F+G+Hinatsuru_Ai+20181210200001
先手:G
後手:Hinatsuru_Ai
先手が▲3二歩として次に▲3一飛を狙ってきた局面です。
受けの手筋を駆使して一手の余裕を作れば△9六銀などの攻めでわかりやすくなります。
△1一玉▲3一飛 △2一金 ▲同飛成 △同 玉 ▲3一歩成 △同 玉 ▲4三香 △9六銀(下図)と進みました。
▲3二歩に対して△同金右と歩を取るのは▲5一飛 △3一金打 ▲3二桂成 △同金寄 ▲9六金(参考図)で先手に粘る余地を与えます。
▲3二歩には△1一玉が▲3一飛の一手詰みを防ぎつつ2一に受けるスペースを作る好手です。
△1一玉に▲3一歩成は詰めろになっていないので△9六銀(参考図)で後手の勝ち筋です。
▲5一飛には△8七銀成▲8九玉△8八金▲同飛△同成銀までの詰みです。
△1一玉に本譜は▲3一飛としましたが、△2一金で凌げています。
以下数手進み▲4三香が詰めろではないので△9六銀で後手勝ち筋です。
第一回 凌ぎの手筋のまとめ
- 受けのコツは一手一手の選択肢を丁寧に読むことです。
- 遠くから角を打って自陣に利かす指し方は馬を作る含みがあるので応用の利く受け方です。
- 受けるスペースを作る玉移動は参考になる一手です。一手の猶予を得てから攻めに転じれば一手勝ちが望めます。
参考書籍