ツノ銀雁木と右四間で攻め潰す

はじめに

雁木の流行が続いています。その指し方はいろいろありますが、今回は破壊力バツグンのツノ銀雁木+右四間の布陣で相手を攻め潰す指し方を見ていきたいと思います。

実戦例

開始日時:2013/07/09 04:30:00
棋戦:wdoor+floodgate-900-0+BlunderXX_Q6700_2c+ponanza-990XEE+20130709043000
先手:BlunderXX_Q6700_2c
後手:ponanza-990XEE

(初手からの指し手)
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4四歩 ▲4八銀 △3二銀 ▲5六歩 △4三銀 ▲5八金右 △6二銀 ▲2五歩 △3二金 ▲7八金 △3三角
後手は4手目に△4四歩と角道を止めます。展開によってはここから振り飛車にする構想も考えられるところです。
本譜は△6二銀~△3二金と指し、力戦志向となりました。
そして△3三角と角を上がり飛車先の歩交換を受けましたが、ここでは△3三角と上がらずに指すのも考えられたところです。

(上図からの指し手)
▲6六歩△6四歩 ▲6七金右 △7四歩 ▲6九玉 △6三銀 ▲3六歩 △7三桂 ▲5七銀 △9四歩 ▲7七角

後手はまだ、飛車を振る可能性を残して駒組みを進めています。
その可能性も考えて先手は後手が居飛車できても振り飛車できても対応できるように陣形を整備しているのです。

(上図からの指し手)
△9五歩 ▲8八銀 △5二金 ▲6八角 △4一玉▲7九玉 △6二飛
後手は△4一玉と寄り、△6三銀型の「ツノ銀雁木」にしました。そしてすぐに△6二飛と右四間に構えたのが狙いの構想です。
本局の先手は序盤の早い段階で▲6六歩と突いたため、後手は右四間飛車を狙っていきたいところです。

(上図からの指し手)
▲7七桂 △3一玉 ▲1六歩 △1四歩 ▲4六銀 △5四銀右 ▲5五歩 △4五歩

先手は▲7七桂と上がり菊水矢倉を選択しました。▲7七桂で▲7七銀と矢倉に組もうとすると、のちに△6五歩~△6五桂が銀取りになってくるのでそれを避けた意味があります。
その後、先手は▲5五歩と突き後手の銀を追い返そうとしましたが、△4五歩と突き違えたのが好手です。
ここで△6三銀とひるんでは元気が出ません。
おそれずにどんどん駒をぶつけていきましょう。

(上図からの指し手)
▲5四歩 △4六歩 ▲7五歩 △4七歩成 ▲7四歩△6五桂

先手も▲5四歩と勝負するしかありません。
以下はお互い、我が道を行く攻め合いです。
▲7四歩に対する△6五桂は好手。
仮に△6五桂に対して▲同歩と取ると△同歩で△6六歩からの攻めが厳しくなります。

(上図からの指し手)
▲7三歩成 △6一飛 ▲6二銀 △同 金 ▲同 と △5八銀

中盤が終わり終盤戦に入りました。
▲6二銀△同金▲同との局面は重要な場面です。
ここで△同飛と取ってしまうと▲5三歩成で、まだ後手が少しいいですが先手にもチャンスがある将棋です。
ここは飛車を見捨てて△5八銀と1手勝ちを狙うのが正確な終盤の速度計算に基づいた1手です。
飛車は取られても一段目のと金は働きませんし、後手の攻めのほうが速ければいいのです。

(上図からの指し手)
▲5三歩成 △6七銀成 ▲同 金 △5八銀 ▲7八金 △6七銀不成▲同 金 △5七金

先手は▲6一とと取っても1手負けしそうなので▲5三歩成と勝負しました。
しかし、ここからの後手の寄せが見事でした。
まず駒を何度も打ち、互いの金銀を入れ替えます。
これは金のほうが銀よりも受けに適しているので、先手の持ち駒の金を減らす目的があったのです。
そして△5七金と張り付きました。
いよいよ先手は受けに窮してきました。

(上図からの指し手)
▲同 金 △同 と ▲6五桂 △7八歩 ▲8九玉 △6八と ▲同 飛 △7九金 ▲同 銀 △同歩成 ▲同 玉 △7七銀

後手玉はまだ相当駒を渡さない限り▲4三とと取られても詰みはありません。
よって後手は先手よりも1手速く攻めを続けていけば勝てるのです。
上図からの手順最終手の△7七銀もその考えに沿った1手です。
仮に▲4三とと取ると△5七角と打てば先手玉に受けはなく、後手玉は詰まないので後手の勝ちとなります。

(上図からの指し手)
▲6九銀 △5七角 ▲7八金△6六角上 ▲8八銀 △同銀成 ▲同 金 △7七銀 ▲同 金 △同角成 ▲7八金 △9九馬 ▲8九銀 △7七歩

よって先手は▲6九銀と辛抱しました。しかし後手の攻めは止まりません。
△5七角以降の後手の指し手はすべて詰めろとなっています。
上図からの手順最終手△7七歩も次に△7八歩成 ▲同銀右 △6八角成 ▲同 玉 △6七香 ▲同 銀 △3八飛 ▲5八桂 △7七金▲5七玉 △6七金 ▲同 玉 △5六銀 ▲7六玉 △6五銀 ▲8五玉 △8四金 ▲8六玉 △7五金打までの19手詰みを狙った詰めろ(参考手順

となっています。

(上図からの指し手)
▲8八銀打 △7八歩成 ▲同銀左 △6七金▲9九銀 △7七香 ▲同 銀 △同 金 ▲7八歩 △6七銀 ▲4二角 △2二玉(下図)まで98手で後手の勝ち

なおも先手は懸命に受けを続けましたが、△6七銀でいよいよ受けがなくなりました。
そして▲4二角に△2二玉と逃げたところで先手の投了となりました。
先手陣に受けはなく、後手玉は詰まないので投了も仕方ありません。

この将棋の棋譜は以下から

まとめ

・先手が序盤の早い段階で▲6六歩と突いてきた場合はツノ銀雁木+右四間の作戦が有力となる。

・攻め駒は前に進めよう。ひるまずに攻め合いを目指そう。

・金銀を入れ替えるテクニックや詰めろの連続で迫る終盤の指し方を学ぼう。

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