はじめに
「コンピュータ将棋研究Blog」のsuimonです。
今回新たに、アマチュア初段前後の人を対象とした将棋ブログを開設しました。
みなさんの将棋上達の助けになるような記事の執筆を心がけていきます。
よろしくお願いします。
さて、「矢倉囲いに端歩を突くな」という格言を聞いたことのある人は多いのではないでしょうか?
一概には言えませんが、矢倉囲いで端歩を突くと「スズメ指し」で端から囲いを攻略する指し方が有力となります。
今回の記事では、そのスズメ指しがうまく決まった将棋を紹介していこうと思います。
実戦例
開始日時:2013/06/26 22:30:00
棋戦:wdoor+floodgate-900-0+ponanza-990XEE+gps_l+20130626223001
先手:ponanza-990XEE
後手:gps_l
動く将棋盤は以下のリンクから
矢倉囲いをスズメ指しで攻略 棋譜
(上図からの指し手)
▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △3四歩 ▲7七銀 △6二銀 ▲2六歩 △4二銀 ▲4八銀 △3二金 ▲7八金 △4一玉 ▲6九玉(下図)
先手は5手目に▲7七銀と上がり矢倉を目指しました。
ここでは5手目に▲6六歩から矢倉を目指す指し方も以前は主流でしたが、最近では後手の左美濃からの急戦策が有力とされており、それを避ける意味で5手目に▲7七銀と上がり6筋の歩をすぐに突かない指し方に流行が移っています。
(上図からの指し手)
△5四歩 ▲5六歩△5二金 ▲3六歩 △4四歩 ▲5八金 △3三銀 ▲7九角 △3一角 ▲6六歩 △7四歩 ▲6七金右(途中図)
△4三金右 ▲3七銀 △6四角 ▲6八角 △3一玉▲7九玉 △2二玉 ▲8八玉 △5三銀 ▲1六歩 △9四歩 ▲9六歩 △1四歩(下図)
互いに矢倉囲いを構築しました。
そしてお互いに端歩を突き合いましたが、先手の銀の位置が3七で後手の銀の位置が5三の地点であることに注目してください。
この違いを活かして先手はここからスズメ指しを狙っていきます。
(上図からの指し手)
▲1七香 △4二銀右 ▲2五歩 △8五歩 ▲1八飛 △7三角 ▲2六銀△9五歩 ▲同 歩 △同 香 ▲9七歩 △9二飛 ▲1五歩(下図)
先手は3七の銀を▲2六銀と上がり、▲1七香・▲1八飛と合わせて1筋の集中攻撃を目指します。
後手も9筋から攻めようとしましたが、銀が参加していないので攻めに腰が入っていない状態です。
▲9七歩と受けておけば攻めの後続がありません。
そしていよいよ▲1五歩から端を攻めていきました。
(上図からの指し手)
△同 歩 ▲同 銀 △同 香 ▲同 香 △1七歩 ▲同 飛 △2八角成 ▲1二香成 △3一玉▲1五飛 △2九馬 ▲1七香
(下図)
△1七歩 ▲同 飛 △2八角成と後手が飛車取りに馬を作ってきた局面で▲1二香成 △3一玉▲1五飛と後手に飛車を取らせない指し方が好手です。
飛車を敵陣に成り込んで龍を作るのが最短での後手陣の攻略へとつながります。
上図最終手、▲1七香も覚えておきたい指し方。
▲2一成香と形を決めずに先に▲1七香と打っておくことで次に▲2一成香△同玉▲1一飛成の詰みを狙います。
(上図からの指し手)
△4七馬 ▲2一成香 △4一玉 ▲1一飛成 △5二玉 ▲2二成香 △同 金 ▲8一龍 △9四飛 ▲7二龍 △6二香 ▲1三香成(下図)
先ほど書いたように後手は▲2一成香に対しては△同玉と取ることはできません。(▲1一飛成で詰み)
仕方のない△4一玉に先手は▲1一飛成と念願の龍を作ることに成功しました。
その後は龍と成香を使ってはさみ撃ちで攻めていきます。
(上図からの指し手)
△3二金 ▲6五桂 △6四銀 ▲7三桂打 △5一銀 ▲6一桂成 △4二銀引 ▲2四歩 △同 歩 ▲2三歩(下図)
「玉は包むように寄せろ」という言葉があるように、はさみ撃ちで攻めていくのは重要な終盤の考え方です。
まず、桂馬を2枚使って玉の包囲網を狭めていきます。
そして▲2四歩△同歩▲2三歩が決め手とも言える「垂れ歩」です。と金を使って攻めるのは確実な寄せ方なのです。
自陣が安泰なので攻めは慌てなくても大丈夫。
いよいよゴールが近づいてきました。
(上図からの指し手)
△6五銀 ▲同 歩 △9八歩 ▲同 香 △6九馬▲7三銀 △5三金 ▲2二歩成 △9六歩 ▲3二と(下図)
先手ははさみ撃ちで後手陣を寄せるのが方針です。よってこの方針に沿って指し手を進めていきます。
後手の△9六歩には▲同歩でもいいですが、強く▲3二とと金を取りました。
自玉は大丈夫なのを見切っています。
(上図からの指し手)
△9七歩成 ▲同 桂 △4三玉 ▲5一成桂 △7八馬 ▲同 玉 △8六桂 ▲同 歩 △6六桂 ▲同 銀△8七金 ▲6九玉 △7八金 ▲同 玉(下図)
まで109手で先手の勝ち
序盤で後手が△1四歩と突いたのをみて先手がスズメ指しに出て、攻めがうまく決まった1局でした。
まとめ
・矢倉戦法で端歩を突いてきた場合は銀が攻めに使える場合は積極的にスズメ指しを狙っていこう。
・スズメ指しは敵陣に飛車を成り込むのが最短の寄せ。攻め方を工夫しよう。
・寄せの基本パターンとして「はさみ撃ち」は重要。玉は包むように寄せていこう。