はじめに
elmo囲い急戦は新たな対振り飛車の急戦策として、現在おおいに注目されています。
私が運営しているコンピュータ将棋研究Blogでもelmo囲い急戦に関する記事をいくつか投稿してきました。
参考 対振り飛車新時代!elmo囲い急戦の登場コンピュータ将棋研究Blog
参考 先手三間飛車対elmo囲い急戦の攻防コンピュータ将棋研究Blog
参考 将棋倶楽部24のJKishi18gouの棋譜を調べてみた(elmo囲い編)コンピュータ将棋研究Blog
今回の記事ではelmo囲い急戦の基本!とタイトルにある通り、elmo囲い急戦の基本的な攻め筋を見ていきたいと思います。
elmo囲い急戦の基本!の実戦例
棋戦:R対局(早指)
先手:先手
後手:JKishi18gou(3060)
(初手からの指し手)
▲7六歩 △4二玉 ▲6六歩 △6二銀 ▲7八銀 △3四歩 ▲6八飛
elmo囲い急戦は角道を止める振り飛車に対して特に有力です。
本局の先手は▲6六歩と角道を止めてから▲6八飛として四間飛車にしました。
(上図からの指し手)
△7四歩 ▲4八玉 △5四歩 ▲3八銀 △1四歩▲1六歩 △3二玉
elmo囲い急戦をする際には、玉側の端歩は突くようにしましょう。
逃げ道の確保や端攻めなど利点が多いからです。
これは従来からある急戦策と考え方が同じです。
(上図からの指し手)
▲3九玉 △8四歩 ▲7七角 △4二銀 ▲5八金左 △5三銀右
後手は急戦策を目指すので、△4二銀と上がります。
その後、少し早いようにも見えますが△5三銀右と指しました。
従来の急戦策の場合はここでは△5二金右と上がるところでしょうが、本局はelmo囲い急戦を目指しているので金上がりはいったん保留します。
(上図からの指し手)
▲6七銀 △8五歩 ▲5六歩 △3一金
後手は△8五歩と伸ばしてから△3一金と寄りました。
この△3二玉・△4二銀・△3一金の形をelmo囲いと呼びます。
(上図からの指し手)
▲4六歩 △6四銀 ▲2八玉 △7五歩
先手が▲4六歩と突いたのを見て、後手は△6四銀と右銀を繰り出します。
先手にとって▲4六歩は将来のコビン攻めを緩和するなど価値のある一手ですが、反面先手から▲4六角と出る筋を消してしまっています。
よってelmo囲い急戦をする際は▲4六歩には△6四銀と覚えておくと良いでしょう。(先手でelmo囲い急戦をする場合は△6四歩には▲4六銀)
先手が▲4六歩に代えて▲2八玉と上がってきた場合に△6四銀と指すと以下、▲7八飛△5一金▲9八香△7五歩▲6八角△7二飛 ▲7五歩△同銀▲4六角
(以下参考図までの手順最終手)と進むと先手が有利となります。
参考図までの手順最終手▲4六角から△6四歩には▲同角がありますし、9一の香を助ける手段も難しくなっています。
よって▲2八玉には後手もいったん△5一金(参考図)と金を寄っておくのがよいでしょう。
以下、▲4六歩には△6四銀、▲9八香や▲7八飛には△6四歩とします。
△6四歩以下は展開によって、△6二金としてから△6五歩の攻めを狙っていけば大丈夫です。
本譜は▲4六歩型なので△6四銀から△7五歩と仕掛けていきました。
(本譜局面図再掲)
(上図からの指し手)
▲7八飛 △7六歩 ▲同 銀 △9四歩 ▲4五歩 △7二飛
△7五歩に対して▲同歩と取るのは△同銀で無条件で銀が5段目に進出できるので後手優勢です。
よって△7五歩には▲7八飛と寄るのが部分的には定跡化された一手です。
後手は△7六歩と歩を取ってから一回△9四歩と端歩を突いて様子を見ました。
△9四歩では△7二飛(参考図)と指すのも自然な一手で、
以下、①▲8八角には△7七歩▲同飛△6六角▲6七銀△7七角成▲同角△3三桂(以下参考図までの手順最終手)
②▲6七金には△7六飛 ▲同 金 △6七銀▲6五歩 △7八銀成 ▲2二角成 △同 玉 ▲6四歩 △7九飛(以下参考図までの手順最終手)
③▲6五歩には△7七角成▲同飛△7三銀▲6六角△3三角(以下参考図までの手順最終手)
でそれぞれ後手有利となります。
本譜は△9四歩▲4五歩の交換を入れてから△7二飛と指しました。
(本譜局面図再掲)
(上図からの指し手)
▲6五歩 △7七角成▲同 飛 △5三銀引 ▲6七銀 △3三角
先手は▲6五歩と定跡化された一手で対応します。
ここで△7六飛は▲2二角成とされると以下△同玉に▲7六飛と飛車を取られて後手失敗です。
よって▲6五歩には△7七角成▲同飛△5三銀引と対応します。
△5三銀引で△7三銀はのちに先手が▲4六角とする変化や▲4四歩と突き捨てて攻める筋があり、上記③の変化に比べて△9四歩、▲4五歩の交換が入っている分、先手が得しています。
△5三銀引に対して①▲4六角は△8八角、②▲6六角は△3三角でいずれも後手有利となります。
よって本譜は▲6七銀としましたが、そこで△3三角が好手でした。
(上図からの指し手)
▲7二飛成 △同 金 ▲7七桂 △同角成 ▲7五飛 △6七馬
先手の▲7二飛成では▲8三角という手も見えますが、以下△7七飛成▲同桂△7一金(参考図)
と進むと次の△7七角成が残っており後手有利です。
本譜は▲7二飛成△同金に▲7七桂と勝負手を繰り出しました。
▲7七桂で①▲8四飛には△7三桂、②▲7七角には△6九飛で後手大丈夫です。
▲7七桂は一見ただのようにみえますが、△同角成に対して▲7五飛が先手の狙いでした。
後手もこのタイミングで△6七馬として銀と刺し違えます。
(本譜局面図再掲)
(上図からの指し手)
▲7二飛成 △5八馬▲同 金 △4六桂 ▲6六角 △6九飛
先手の▲7二飛成で▲6七同金としてきた場合は、△7三桂としておいて以下▲7四歩には△6九飛(参考図)が厳しく、後手の攻め合い勝ちが見込めます。
よって本譜は▲7二飛成としましたが、△5八馬から後手の厳しい攻めが続きます。
また、▲6六角に対して△6九飛と打てるのもelmo囲いの強みです。
仮に後手の陣形で3一の金が4一にいると▲2二金で後手玉が詰んでしまいます。
(本譜局面図再掲)
(上図からの指し手)
▲7七角打 △3八桂成 ▲同 玉 △4九銀 ▲2八玉 △3八金 ▲1八玉 △6六飛成
▲同 角 △5八銀成 ▲3五桂 △2八銀
先手の▲7七角打は油断のならない一手で、ここで△5八桂成とすると以下、▲2二金△4一玉▲3一金△同銀▲5二金△3二玉▲5三金(局面手順最終手)という順で以下後手玉がトン死してしまいます。
終盤戦はとくにトン死筋には注意が必要です。
本譜は王手を決めるだけ決めてから△6六飛成としたのが、自玉の詰めろを解除する好手順でした。
以下数手進んで、△2八銀でいよいよ先手玉に受けがなくなりました。
(本譜局面図再掲)
(上図からの指し手)
▲4三桂成 △同 玉 ▲4四飛 △同 銀 ▲同 歩 △3三玉
▲4三歩成 △2四玉▲2五銀 △同 玉 ▲2六歩 △2四玉 ▲2五金 △1三玉 ▲2七玉 △4五角(投了図)
まで80手で後手の勝ち
自玉に受けがなくなった先手は最後に王手ラッシュをかけてきます。
▲4三桂成△同玉▲4四飛の局面で△3三玉としてしまうと以下、▲4二飛成△2四玉▲3三銀(参考図)以下、またしても後手玉がトン死してしまうので注意です。
本譜は先手もギリギリで迫りましたが、後手玉に詰みはなく80手で後手の勝ちとなりました。
※この将棋の棋譜は以下から
elmo囲い急戦の基本!新感覚の振り飛車対策のまとめ
elmo囲い急戦は本記事で検討してきた指し方以外にも右銀を6三~5四に使っていく指し方や、△6四歩~△6五歩と仕掛けていく筋、そして△6二飛から右四間飛車にする指し方等、幅広い指し回しができるのが魅力です。
振り飛車側からの対応策も多岐にわたるので、居飛車・振り飛車の作戦の組み合わせによって膨大な分類ができていきます。
今後もプロ公式戦等でこのelmo囲い急戦は指されていくでしょう。
とても楽しみです。
参考書籍