対矢倉速攻早繰り銀

はじめに

現代の矢倉戦はじっくり囲い合う相矢倉の将棋がめっきり減り、急戦調の将棋が多くなりました。

先日行われた第12回朝日杯準決勝の行方ー藤井戦においても、藤井聡太七段が(下図)のような急戦を仕掛けて快勝しました。

自陣の囲いはそこそこに右銀を早繰り銀で繰り出していくのが藤井七段の作戦でした。

上図からは△8六歩からの銀交換が狙いで、持ち駒に銀を持つと攻めの幅が広がります

今回の記事では将棋ウォーズのponanzaの将棋を題材として対矢倉の速攻早繰り銀の将棋を検討していきます。

対矢倉速攻早繰り銀の実戦例

開始日時:2016/04/27 23:15:08
棋戦:将棋ウォーズ
先手:2016Pona
後手:後手

(初手からの指し手)
▲9六歩 △8四歩 ▲4八銀 △8五歩 ▲7八金 △3四歩 ▲3六歩 △6二銀 ▲3七銀

先手は初手▲9六歩から右銀を▲3七銀として攻めの形を作りました。

(上図からの指し手)
△5二金右 ▲2六歩 △4二銀▲7六歩 △3三銀 ▲4六銀

後手は△4二銀~△3三銀として矢倉囲いの骨格を作りました。

それに対して先手は▲4六銀として早くも攻撃態勢です。

(上図からの指し手)
△3二金 ▲6九玉 △4四歩 ▲2五歩 △4三金右

後手は先手からの攻めに備えて△3二金、△4四歩~△4三金右と矢倉囲いを構築しました。

先手はいったんは▲6九玉と居玉を解消してから▲2五歩と飛車先の歩を伸ばします

(上図からの指し手)
▲3五歩 △同 歩 ▲同 銀 △5四歩▲4六歩

先手は自陣の囲いには手を入れずに、▲3五歩△同歩▲同銀と銀を5段目に進出させます。

後手の△5四歩で△3四歩と銀取りに歩を打ってきた場合は、銀を引くのではなく▲2四歩として銀交換を狙います。

▲2四歩以下、△同歩(△3五歩は▲2三歩成)▲同銀△同銀▲同飛△2三歩▲2八飛(参考図)として、先手は攻めの銀と守りの銀の交換に成功します。

参考図以下は先手がすぐに攻め切れるわけではありませんが、▲6八銀から囲いを作ってチャンスがあれば攻め掛かれば十分です。

本譜は▲3五同銀に対して△5四歩としましたが、先手は次の攻め筋を狙って▲4六歩としました。

(本譜局面図再掲)

(上図からの指し手)
△5三銀 ▲6八銀 △4一玉 ▲4五歩

後手は△5三銀と上がって上部を厚くします。

対する先手の▲6八銀は価値の高い一手で、▲7九玉と寄るスペースを作りつつ上部を強化しています。

そして後手の△4一玉には▲4五歩と早速仕掛けていきました。

(上図からの指し手)
△同 歩 ▲2四歩 △同 歩 ▲3四歩

先手の▲4五歩に対して後手は△同歩と取りましたが、△同歩では△3一玉(参考図)と玉を移動させる手もありました。

以下の進行例として、▲2四歩に①△同銀は▲4四歩△同銀▲同銀△同金 ▲4八飛(参考図までの手順最終手)

②△同歩は▲7九玉△4五歩 ▲3四歩 △同 銀▲2二角成 △同 玉 ▲2四飛 △2三銀 ▲4四歩 △4二金引 ▲2七飛

(参考図までの手順最終手)としておいて後手も対応が難しい将棋となります。

本譜は▲4五歩に対して△同歩とし、以下▲2四歩~▲3四歩と一気に攻めかかりました。

(本譜局面図再掲)

(上図からの指し手)
△同 銀 ▲2二角成 △同 金▲3四銀 △同 金 ▲7一角

まで39手で先手の勝ち

先手が▲3四歩と打った局面で後手は△同銀と取りましたが、これは疑問手でした。

ここでの最善は△4四銀左(参考図)で、

以下、▲2四銀 △2五歩 ▲2三歩 △3一角▲3五銀(以下参考図までの最終手)と進んで難解な勝負でした。

本譜は▲3四歩に対して△同銀と取ったため、▲2二角成からの攻めが厳しく、▲7一角までで先手の勝ちとなりました。

投了図以下は△5二飛に▲4三銀として後手陣はすでに収拾がつかなくなっています。

先手の速攻早繰り銀がうまく決まった一局でした。

※この将棋の棋譜は以下から

対矢倉速攻早繰り銀のまとめ

本局は先手が自陣の囲いはそこそこに右銀を素早く攻めに繰り出していきました。

その後、▲6八銀と一回自陣に手を入れたのがうまい呼吸で、この一手により自陣がだいぶ引き締まりました。

自陣を引き締めてからは再度攻めに転じ、途中で後手の疑問手もあり先手の攻めがさく裂しました。

このように、現代の矢倉戦は先後ともに隙があれば急戦策を狙っていく将棋が主流となっています。

参考棋譜

開始日時:2018/11/28 00:20:44
棋戦:R対局(15分)
戦型:その他の戦型
先手:先手
後手:JKishi18gou(3130)

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