はじめに
前回に引き続いて問題形式で対矢倉左美濃急戦について学んでいきます。
第二回 対矢倉左美濃急戦の攻めをつなげる問題集前回の記事では左美濃側が飛車を縦横無尽に使っていく展開が多かったですね。
左美濃囲いは低い陣形なので飛車打ちに強い構えです。よって、飛車を切っていくような攻めもよく成立します。
第三回 対矢倉左美濃急戦の問題集
問題形式となっています。「以下の進行」の部分をクリックorタップすると解答を見ることができます。
問題その1
開始日時:2019/03/25 02:43:47
棋戦:R対局(15分)
先手:JKishi18gou(3304)
後手:後手
後手が△3五歩として先手の桂頭を狙ってきた局面ですが、これは隙が生じました。
▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛(下図)で▲2一飛成と▲4四飛を狙います。
以下△3六歩には▲2一飛成△3一金▲1一龍△3七歩成▲3二歩△4一金▲6五香△4六角▲4四角△同金▲7一銀(参考図)と進んで先手勝ち筋です。
本譜は▲2四同飛に対して△2三歩としましたが以下、▲4四飛△同 金▲同 角 △8六歩 ▲7一角成 △8四飛▲9五銀(投了図)までで先手の勝ちとなりました。
△8五飛、△7四飛は▲8六銀、△8三飛は▲7二馬で先手勝勢です。
問題その2
開始日時:2019/02/11 19:01:04
棋戦:R対局(早指2)
先手:JKishi18gou(3331)
後手:後手
▲4四銀△同銀と進んだ局面です。どう攻めますか?
▲4四同飛(下図)が強手です。
これまでも何度も出てきましたが、やはり飛車を切っていく攻めが有力です。
以下①△同角には▲同角△同金▲7七角△9五角▲9六歩(参考図)、
②△同金も▲5三銀△5五金▲4二銀打△同金▲同銀成△同玉▲7五角(下図)で先手勝勢です。
問題その3
開始日時:2019/02/07 23:48:24
棋戦:R対局(15分)
先手:先手
後手:JKishi18gou(3299)
△6五歩に▲6七金右とした局面です。次の一手も対矢倉左美濃急戦ではよく出てきます。
△2四飛(下図)が先手陣の左辺への偏りをとがめる一手です。
△2九飛成を防ぐために▲2六歩としますが以下、△8六歩▲同歩△5四銀▲7九角△6六歩▲同銀△4五銀(下図)と進み、飛車を捕らえて後手優勢です。
問題その4
開始日時:2019/02/05 09:36:50
棋戦:R対局(早指)
先手:先手
後手:JKishi18gou(3290)
※復習問題
▲5八飛として▲5五歩から抑え込みを狙ってきた局面です。
部分的な手筋があります。
△4四歩▲5五歩 △4五歩(下図)が突き違いの歩の手筋です。第一回目の記事内の問題でも出てきました。
▲5八飛には△4四歩と覚えておいてもよいくらい応用が利く形です。
本譜は△4五歩以下、▲5四歩 △4六歩 ▲5三歩成 △4七歩成 ▲5四飛と進みましたが、△8六歩 ▲同 歩 △5七歩(下図)で先手が居玉の分あたりが強いので後手有利です。
問題その5
開始日時:2019/02/05 22:43:42
棋戦:R対局(長考)
先手:JKishi18gou(3292)
後手:後手
一直線の駒の取り合いとなった局面ですが、この取り合いは先手に分がありました。
ここから5手先が読めるでしょうか。
▲3三角成 △同 桂 ▲5二銀 △3一玉 ▲2三歩(下図)が寄せの決め手順でした。
▲2三歩に対して△同金は▲3二金で詰みです。このように金を斜めに動かせない形は寄せの基本形です。
▲2三歩に本譜は△2二金としましたが、以下▲同歩成 △同 玉 ▲3二金 △2三玉 ▲3三と △1四玉 ▲2六桂(投了図)と進んで先手の勝ちとなりました。
5手目▲6六歩と5手目▲7七銀のデータ
対矢倉左美濃急戦は5手目▲6六歩からの矢倉に対して有力とされています。
その理由としては▲6六歩型の場合、後手から△6五歩と突けばすぐに戦いを起こすことができるからです。
floodgateの2018年のデータを使って5手目▲6六歩と5手目▲7七銀の勝率を比較してみます。
まず、5手目▲6六歩から。
先手からみて127勝253敗で、勝率は3割台です。5手目の時点でこの数字では5手目▲6六歩からの将棋が減るのも仕方ない感じがします。
次に、5手目▲7七銀のデータです。
先手からみて363勝389敗で、勝率は5割を少し切っています。それでも5手目▲6六歩よりは勝率がいいので今後もこの出だしは指されていくでしょう。
以前は矢倉5手目問題として、矢倉を目指す段階で5手目に▲6六歩か▲7七銀かでずいぶん比較されたものでしたが、近年になってようやく5手目▲7七銀がまさるという結論になってきたように思います。
参考書籍
第四回に続きます。