はじめに
終盤力の養成には、
- 詰将棋を解く
- 必死問題を解く
- しのぎの問題を解く
といったトレーニングが有効です。
アマチュアの金子タカシさんが執筆した「寄せの手筋200」、「凌ぎの手筋200」、「美濃崩し200」は終盤力向上のための本として多くの方が勉強に取り入れています。※この3冊はまとめて金子三部作とも呼ばれています。
今回の記事ではその3冊の中から「寄せの手筋200」のレビューをしていきます。
寄せの手筋200の目次と構成
目次は以下のようになっています。
第1章 上から押さえる
第2章 挟撃の寄せ
第3章 馬と角の活用
第4章 龍と飛車の活用
第5章 退路封鎖
第6章 頭金までのプロセス
第7章 端玉には端歩
第8章 腹銀を使いこなす
第9章 必殺の両王手
第10章 さまざまな寄せ
第11章 手順の組み合わせ
このように局面のパターン別に寄せの手筋が学べるようになっています。
また、構成としては基本→応用→復習とページを読み進めるごとに問題のレベルが上がっていくため、読み進めるごとにさまざまなパターンの寄せの形を覚えていくことができます。
上から押さえる
ここからはそれぞれの章ごとにfloodgateの実戦から同一パターンの寄せを見ていきます。
動く将棋盤は以下のリンクから
開始日時:2018/11/20 03:00:00
棋戦:wdoor+floodgate-300-10F+hei.George.+coduck_pi2_600MHz_1c+20181120030000
先手:hei.George.
後手:coduck_pi2_600MHz_1c
上図は終盤の局面で寄せのチャンスのある局面です。
ここから▲2一飛成 △同 玉 ▲2三銀(下図)進みました。
これは基本の上から押さえる寄せの手筋で、銀で上部を押さえた後に持ち駒に金、桂があると後手は受けに窮します。
寄せの手筋200でトレーニングを積んでいる方にとってはひとめの寄せでしょう。
挟撃の寄せ
動く将棋盤は以下のリンクから
開始日時:2017/05/13 17:30:03
棋戦:wdoor+floodgate-300-10F+sonic+gpsfish_normal_1c+20170513173006
先手:sonic
後手:gpsfish_normal_1c
終盤の局面でそろそろ決めに行きたいところです。
ここから▲6一銀 △同 玉 ▲8二金(下図)と進行しました。
挟撃の手筋の基本で左右からの挟み撃ちで相手玉を寄せます。
一方から追うとたくさんの駒が必要な場合、また一方から追うだけでは玉にどんどん逃げられて捕まらないような場合、左右からはさみうちにすることで、少ない駒で寄せることができる。(p28より)
馬と角の活用
動く将棋盤は以下のリンクから
開始日時:2017/10/14 09:30:01
棋戦:wdoor+floodgate-300-10F+Yss1000k+Sunfish4-AWS07+20171014093004
先手:Yss1000k
後手:Sunfish4-AWS07
ここから一気の詰み筋があります。
▲6二銀成 △8二玉 ▲7二成銀 △同 玉 ▲6一銀 △8二玉▲7一角成 △9二玉 ▲9三香 △同 桂 ▲8二金(下図)
まで先手の勝ち
馬や角は、端で玉をつかまえる場合、重要な役割を果たす。特に△1二玉に対する▲3一角(馬)、△9二玉に対する▲7一角(馬)は急所の筋である。(p46より)
龍と飛車の活用
動く将棋盤は以下のリンクから
開始日時:2018/04/11 12:00:01
棋戦:wdoor+floodgate-300-10F+Hi-Ho+Sunfish4-AWS12+20180411120002
先手:Hi-Ho
後手:Sunfish4-AWS12
終盤の局面で、ここから龍を生かした詰み筋があります。
ここから▲2三銀成 △同 金 ▲3二龍 △2二金 ▲2三桂成(下図)と進んで先手の勝ちとなりました。
龍は最も強力な駒で、寄せでもその威力を発揮する。なかでも龍が玉に一間跳びに迫った形は「一間龍」と呼ばれ、寄せの絶好形である。(p68より)
退路封鎖
動く将棋盤は以下のリンクから
開始日時:2013/04/13 18:00:03
棋戦:wdoor+floodgate-900-0+sakurapyon_2013+Kakinoki-Z+20130413180010
先手:sakurapyon_2013
後手:Kakinoki-Z
終盤の局面です。ここで退路封鎖の決め手があります。
ここから△8八銀(下図)が決め手となりました。
▲同銀、▲同金ともに詰みとなります。
逃げ道や退路がある玉の場合は、その逃げ道や退路をどのようにしたら封鎖できるかを考えるべきである。(p100)
頭金までのプロセス
動く将棋盤は以下のリンクから
開始日時:2018/05/08 10:30:02
棋戦:wdoor+floodgate-300-10F+Yss100+Novice_wcsc28+20180508103007
先手:Yss100
後手:Novice_wcsc28
後手勝勢の局面です。ここから頭金までのプロセスを描いてください。
ここから△6九銀 ▲6七銀 △同 龍(途中図)
▲4八飛 △7八銀成 ▲同 飛 △6九銀(下図)と進んで先手玉に必死が掛かりました。
代表的な守備駒といえば金だが、金の場合は斜めに誘うのが急所となる。これは金が斜め後ろに下がれないからで、「金は斜めに誘え」という格言はこのことを指している。(p116より)
端玉には端歩
動く将棋盤は以下のリンクから
開始日時:2013/04/23 12:30:00
棋戦:wdoor+floodgate-900-0+Gekisashi_X5590_7c+Kakinoki-Z+20130423123004
先手:Gekisashi_X5590_7c
後手:Kakinoki-Z
先手勝勢の局面でどうやって決めるかというところです。
ここから▲1五歩 △2四玉 ▲2六歩(下図)と進んで先手の勝ちとなりました。
▲1五歩と端歩を突くのが端玉には端歩のセオリーに沿った一手で、△同歩には▲2五金としばって後手玉に受けがなくなります。
端まで追い詰めた玉に対して、端歩を突く手が決め手となる場合が非常に多い。格言にいう「端玉には端歩を突け」である。(p130より)
腹銀を使いこなす
動く将棋盤は以下のリンクから
開始日時:2017/12/14 16:00:01
棋戦:wdoor+floodgate-300-10F+coduck_pi2_600MHz_1c+18gou_book-c_1212+20171214160004
先手:coduck_pi2_600MHz_1c
後手:18gou_book-c_1212
ここで手筋の寄せがあります。
ここから△3八銀 ▲1八玉 △2七金▲同 飛 △2九銀不成▲同 飛 △3八龍 ▲2八飛 △2六桂(下図)と進んで後手の勝ちとなりました。
△3八銀が腹銀の寄せで2九と2七の地点に利きを足して先手玉の包囲網を狭めています。
最後は一間龍を駆使して見事に寄せ切りました。
腹銀は、斜め後ろの利きが玉の上部を押さえると同時に、下段から強力に迫って、玉を包み込む。王手をかけずに、「玉を包むように」しばっていく見本的な寄せである。(p144より)
必殺の両王手
動く将棋盤は以下のリンクから
開始日時:2015/11/12 16:30:01
棋戦:wdoor+floodgate-600-10+Basement+furibisha+20151112163002
先手:Basement
後手:furibisha
ここから一手で後手の勝ちとなります。
△7九角(下図)で先手の投了となりました。
△7九角が必殺の両王手狙いの決め手で、△8八歩成と△8八角成の両狙いです。
▲同金も△8八歩成▲同玉に△8七銀で詰みとなります。
捨て駒などの犠牲を払っても、うまく退路を封鎖できれば、両王手が決め手となる。(p164より)
その他の章のさまざまな寄せ、手筋の組み合わせも寄せをマスターするための良問がそろっています。
金子タカシ著「寄せの手筋200」のまとめ
本記事で見ていったように「寄せの手筋200」に掲載された問題を解けるようになると、必ず実戦で似たような局面が出てくるので本で学んだ知識を生かすことができます。
本書の最も特徴的なところは、パターン別に寄せの問題を学ぶことができる点にあります。
苦手なパターンは何度も何度も問題を解くことによってコツがつかめてくるでしょう。
本書に掲載された問題を完璧に解けるようになれば終盤力アップは間違いなしです。