はじめに
雁木は数年前に爆発的に流行し、現在は雁木対策が進んだこともありその採用率は減少してはいますが、タイトル戦で指されることもあり今もなお有力な作戦です。
今回から雁木に関する将棋を題材としてその戦い方のポイントを問題形式で紹介していきたいと思います。
第一回 雁木の問題集
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問題その1
開始日時:2018/02/03 13:32:50
棋戦:R対局(早指2)
先手:先手
後手:JKishi18gou(3130)
後手が雁木から棒銀を繰り出して攻めた将棋の中盤戦です。
攻めの銀が7五まで進出しており、局面としては後手が優勢です。
さらに攻めていきましょう。
△8七歩(下図)が攻めを加速させる一手です。
以下▲同金には△8六銀▲同金△同飛(参考図)と進んで後手の攻めが続きます。
▲7七金の受けには△6九金▲7八玉△6八金▲同飛△5六飛で後手優勢です。
(本譜局面図再掲)
本譜は▲7七角としましたが△7六歩(下図)が痛打です。
以下▲7三歩成としましたが、△7七歩成▲8二と△8八金▲同金△同歩成▲6九玉△7八角▲5九玉△6八と▲同飛△5七銀(下図)
と進み後手勝勢です。
▲7一飛には△6八銀成▲同玉△2八飛▲5八桂△5七金以下の詰みがあります。
問題その2
開始日時:2018/02/07 13:52:28
棋戦:R対局(早指2)
先手:先手
後手:JKishi18gou(3125)
先手が居飛車穴熊にし、後手が△3三金型雁木で対抗した将棋です。
上図は先手が▲3六歩とした局面ですがこれは危険な一手でした。
先手陣には隙が生じています。
△6九角(下図)が△7八角成▲同飛△2五飛と△4七角成を狙った機敏な一手です。
先手としてはこの二つの狙い筋がわかっていても両方を受ける手段がありません。
本譜は▲7七桂としましたが、以下△7八角成▲同飛△2五飛▲7九飛△2八飛成(下図)と進んで敵陣に龍を作り、後手大優勢です。
問題その3
開始日時:2018/02/09 15:08:24
棋戦:R対局(早指2)
先手:先手
後手:JKishi18gou(3131)
後手の雁木に対して先手が仕掛けた将棋で、現局面は▲6六歩と角交換を避けたところです。
先手が次に▲3六飛とできれば攻めの形が安定します。
ここは揺さぶりを掛けます。
△5五角(下図)が香車を狙いつつ、先手の動きを制限させる好手です。
先手としては香取りを受けるには▲1八飛しかないところですが、それには△4四角(銀取り)▲2八飛△7四歩(参考図)と進んで後手が指しやすい形勢です。
参考図から▲1五銀には△5五角があります。
△3六歩の拠点が大きく、先手が指しにくい将棋です。
(本譜局面図再掲)
△5五角に対して本譜は▲6五歩として勝負をかけました。
以下、△1九角成▲1一角成△2九馬(投了図)と進み、後手の勝ちとなりました。
▲2一馬には△3八馬▲同金△2九飛として王手銀取りで後手優勢です。
問題その4
開始日時:2018/03/07 21:58:34
棋戦:R対局(早指2)
先手:先手
後手:JKishi18gou(3167)
先手が▲5六銀として腰掛け銀にした局面です。
次に▲6六歩とされると後手としても仕掛けにくくなります。
ここは動くチャンスです。
△5五歩(下図)が機敏な動きです。
以下▲4七銀には△5四銀(参考図)として次に△6五銀左を狙って後手が指しやすくなります。
(本譜局面図再掲)
△5五歩に対して本譜は▲同銀としましたが、以下△同銀▲同角△3九銀▲3八飛△4八銀成▲同飛△3五歩(途中図)
▲同歩△8六歩▲同歩△同飛(下図)と進んで先手陣に隙が多く、後手優勢です。
以下、▲8七歩には△8五飛と角取りに飛車を引いて、その後、△1五角~△3六歩のような攻め筋があります。
問題その5
開始日時:2018/03/10 01:17:20
棋戦:R対局(15分)
先手:先手
後手:JKishi18gou(3180)
△8六歩に▲同銀と応じた局面です。
攻めの主導権を握っているのは後手です。
ひるまず攻めていきましょう。
△7六歩(下図)が攻めの継続手です。
以下、▲同金には△5八角(参考図)として7六の金が受けづらく後手優勢です。
(本譜局面図再掲)
△7六歩に対して本譜は▲7五歩としましたが、以下△7七歩成▲同金上 △8五金(途中図)
▲同銀△同桂▲8六歩△7七桂成(下図)以下、後手の勝ちとなりました。
第一回 雁木の問題集のまとめ
雁木はやや受け身寄りの戦法ですが、攻めるチャンスがある局面の場合は積極的に攻めることで形勢を有利に持っていくことができます。
相手の出方に応じて、受けに回るか攻めるかの判断をするようにしましょう。
第二回に続く。