はじめに
相掛かりは近年初手▲2六歩の増加に伴い、アマチュア間でも増加傾向にある戦型です。
相掛かりの中でも相掛かり棒銀は狙いは単純ながら、受け方を知らない相手には簡単に2筋を破ることができるのが魅力的です。
今回の記事では将棋倶楽部24のJKishi18gouの将棋から相掛かり棒銀の受け方を学んでいきたいと思います。
相掛かり棒銀の受け方の実戦例
動く将棋盤は以下のリンクから
https://shogi.io/kifus/235904
開始日時:2018/03/29 08:12:32
棋戦:将棋倶楽部24R対局(早指2)
先手:先手
後手:JKishi18gou(3248)
(初期局面)
(初手からの指し手)
▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △3二金 ▲7八金 △8五歩 ▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2三歩 ▲2八飛(下図)
先手の初手▲2六歩から戦型は相掛かりになりました。
▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩に対して△3二金と上がったのがささやかな工夫で、△3二金に代えて△8五歩とすると以下▲2四歩△同歩▲同飛(参考図)とする変化があります。
参考図以下
△8六歩▲同歩△8七歩として後手が指せる…が定説ですが、余計な変化は避けたいものです。
4手目の△3二金と上がっておけば、以下▲2四歩には△同歩▲同飛に△2三歩と受けることができます。
本譜は▲7八金のあと、先手が2筋の歩を交換し2八に飛車を引きました。
(本譜局面図再掲)
(上図からの指し手)
△7二銀▲3八銀 △4二玉 ▲2七銀 △3四歩 ▲3六銀(下図)
先手は▲2八飛とした後に、右銀を3八→2七→3六と前線に繰り出していきます。
▲3六銀型はUFO銀と呼ばれることもあります。
(上図からの指し手)
△1四歩 ▲2五銀 △8六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲8七歩 △8四飛(下図)
▲3六銀の局面では後手から△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△3六飛▲同歩△5五角(参考図)
と強襲に出る指し方もありますが、以下▲2七飛打△2八角成▲同飛△2二銀▲7六歩(参考図)と進んで後手の強襲はやや無理筋となります。
参考図以下
先手はこのあと▲6八銀~▲6九玉として、隙があれば角打ちを狙います。
ただし、この後手の強襲は局面によっては成立するので手順は覚えておいて損はないでしょう。
本譜は△1四歩▲2五銀の交換が入ってから、後手が8筋の歩を交換し8四に飛車を引きました。
(本譜局面図再掲)
(上図からの指し手)
▲2四歩 △同 歩 ▲同 銀 △2六歩 ▲同 飛 △4四角(下図)
先手は▲2五銀からの継続の攻めで▲2四歩として2筋突破を目指しました。
△同歩▲同銀と進んだ局面は次に▲2三銀成を狙っていますが、そこで△2六歩~△4四角が後手の切り返しです。
(上図からの指し手)
▲2八飛 △2六歩 ▲7六歩 △8八角成 ▲同 銀 △2七角(下図)
△4四角に対して▲2五飛とするのは△3三桂があります。
以下▲同銀成△同金▲2一飛成には△2二銀打(参考図)としておけばこれ以上先手からの攻めはありません。
参考図以下
後手は△8五飛~△2五飛や、△2三金~△3二銀の筋を狙います。
本譜は△4四角に対して▲2八飛としましたが、△2六歩として先手の飛車を抑え込むことができました。
△2六歩の局面で後手は次に△8五飛~△2五飛の2筋逆襲を狙っています。
先手はその筋を防ごうと▲7六歩と指しましたが、今度は△8八角成~△2七角の筋が生じました。
(本譜局面図再掲)
(上図からの指し手)
▲5八玉 △8五飛 ▲3九金 △2五飛(投了図)
△2七角は本譜の進行のように△8五飛~△2五飛が狙いでした。
投了図以下は△5四角成~△2七歩成の狙いがわかっていても適当な受け方も見当たらないので投了もやむなしです。
戻って△2七角の局面で▲3八角と受ける手も考えられますが、以下△4五角成▲2六飛△3五歩▲4六歩△3四馬▲2五歩△5四飛▲6八玉△5五飛(参考図)と進んで、やはり後手が指しやすい形勢です。
参考図以下
後手からは次に△3六歩(▲同飛には△2五馬、▲同歩には△2五飛)の狙いがあります。
この将棋の総棋譜は以下から
相掛かり棒銀の受け方のまとめ
- 手堅く指すなら早めに△3二金と上がるのがおすすめです。
- △3六飛▲同歩△5五角の筋は魅力的ですが、相手の駒の配置をよく見てから指すようにしましょう。
- 棒銀を空に切らせる指し方が有力です。△8五飛~△2五飛の2筋逆襲はよく出てくる筋なので覚えておきましょう。
相掛かり棒銀の受け方はとても参考になりました。
1点だけ不明なところが有りました。
不明個所は78行目の内容です。
「△5二金と上がっている場合は、△8三飛打には▲8二角成△同飛に▲7一飛が生じます。」
ご確認よろしくお願いいたします。
みやび様
コメントありがとうございます。
当該箇所確認しました。
「△5二金と上がっている場合は、△8三飛打には▲8二角成△同飛に▲7一飛が生じます。」
上記の意味ですが、△5二金と上がっていない場合(要するに金が6一の定位置)だと△8三飛打▲8二角成△同飛に▲7一飛と打てない(金で取られてしまう)ということです。
よろしくおねがいします。